茶農家が「農業資材として太陽光パネルを導入」 世界への販路を拡大
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サムネイル画像(茶畑の写真) 出典:執筆者撮影
①はじめに:世界で広がる抹茶需要と産地が抱える現実
近年、世界的な抹茶ブームにより、日本の緑茶の輸出が拡大しています。抹茶を含む粉末状の緑茶の輸出額は約603億円(2025年)と、前年より2倍以上伸びています。

出典:財務省 貿易統計のデータを元に再エネポータル編集部が作成
一方で、その抹茶の本場である日本の産地は、必ずしも順風満帆ではありません。高齢化や後継者不足、離農が進み、国内の栽培面積や生産量は年々減少しています。
こうした中で、抹茶の質を高める農業資材として太陽光発電パネルを活用し、有機栽培と組み合わせた独自のモデルに挑み、世界のバイヤーから注目を集めているのが、静岡県菊川市の「株式会社流通サービス」です。
②事例企業:株式会社流通サービス
同社は、創業100年になる茶問屋の四代目である服部吉明社長の「お茶の流通をもっとシンプルな仕組みにして、飲む人たちへより美味しく安心・安全なお茶を届けたい。」という思いから設立されました。茶葉の栽培から加工、販売までの一貫体制を構築しています。
③取り組みのポイント1:全国初「茶畑ソーラー」の導入と「SDGs有機抹茶」の開発
同社は2013年に、茶農家として全国で初めてソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に着手しました。現在、県内13カ所で「茶畑ソーラー」に取り組んでいます。
写真:服部社長と茶畑ソーラー
出典:執筆者撮影
服部社長は、「私は発電事業者ではなく、茶農家です。美味しくて高く売れる抹茶を作るために、太陽光パネルを農業資材として捉えています」と話します。
抹茶の原料となる「てん茶」は、旨味を引き出すために1カ月程度日光を遮る必要があります。茶樹に直接黒いカバーを掛けて日光を遮るのが一般的ですが、茶葉が焼けたり擦れたり蒸れたりするリスクがありました。
そこで服部社長は、「農業資材」として茶畑の上に太陽光パネルを設置。太陽光パネルで日陰を作ることで、茶葉のダメージを回避するだけでなく、発電した電力を工場での加工や被覆作業の自動化に利用するほか、売電収入を得るなど、多角的なメリットを生み出しています。
さらに、毎年の土壌分析に基づいたオーガニック・無農薬栽培を実践し、多様な微生物が生息する豊かな土壌で茶葉を育てています。(※3)
このように、再生可能エネルギーとオーガニック栽培を掛け合わせて作られた抹茶(SDGs有機抹茶)は高い付加価値を持ち、世界的な健康志向の高まりも追い風となって、海外向けに高単価で販売することに成功しています。
④取り組みのポイント2:積極的な海外展開とバイヤーとの信頼構築
同社は現在、約40カ国と取引を行い、「生産が追いつかないほど取引が拡大している」とのことです。
約30年前から、社長自ら海外の展示会などに赴き、和服を着てお茶を点てるデモンストレーションや、バイヤーに向けた抹茶の使い方の講習を行うなど、継続的にバイヤーと信頼関係を積み重ね、販路を開拓してきました。
また、輸出先の嗜好や用途に合わせた品種への植え替え(改植)や、有機JAS認証の取得など、取引先のニーズに合わせた商品開発も行っています。
⑤取り組みのポイント3:静岡茶の活性化のために、地域へ貢献
同社は自社の成功にとどまらず、「茶畑ソーラー」を活用した独自システムを静岡県内の同業者にも横展開しています。技術や設備を提供して栽培の効率化や収入向上を支援し、生産された抹茶を同社が買い上げて海外へ販売するという仕組みです。
これにより、静岡茶産業の活性化や耕作放棄地の解消を図るとともに、魅力的な茶業の実現を通じて若い世代の茶農家への道を開くなど、持続可能な生産体制の構築を目指しています。
さらに、災害時には太陽光パネルが充電スポットとなり、地域に電力を供給できるなど、地域との連携を広げています。
服部社長は、今後5カ年計画として、静岡県内150カ所にソーラーシェアリング設備を設置し、150トンの抹茶を供給するモデルを描いています。
参考文献
・財務省 貿易統計 https://www.customs.go.jp/toukei/info/
・農林水産省「茶をめぐる情勢」2026年4月
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/attach/pdf/ocha-180.pdf
・Hattori Tea Farm https://hattori-tea-farm.jp/pages/commitment
・中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」2020需要獲得https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/2020/juyou/juyou069.pdf
・一般財団法人 静岡経済研究所「ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書 評価対象企業:株式会社流通サービス」(2025年3月31日)
https://www.seri.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/1dc64363bc1d3fc05d40c5911ccaebf2.pdf
本記事は、再生可能エネルギーに関する取り組み事例を共有することを趣旨としたものであり、特定の事業者やプロジェクトを宣伝する広告(PR)記事ではありません。
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