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「納得できる電力」を求めて。横浜の中小企業が着実に進める再エネ導入と地道な省エネ

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本社屋上の太陽光発電パネル(手前)と環境配慮設計したラボ棟(奥) 写真提供:(株)オオスミ


「当社の使用電力は100%再生可能エネルギーです」といったフレーズを見ると、大企業だからできること、中小企業には到底ムリ……と思う人も多いことでしょう。


しかし、工夫次第で中小企業にも実践できる道があります。横浜市に本社を構える株式会社オオスミも、一歩ずつ着実に再エネ導入を進めている一社です。同社は、1968年に、当時大きな社会問題になっていた公害の問題解決に寄与することを目的に創業されました。


オオスミは、環境調査・分析や省エネコンサルティングなどを行う、いわば「環境分野のプロフェッショナル」。同時に、自社でもさまざまな課題を乗り越えながら省エネ対策や再エネ導入を進める、一中小企業でもあります。

 同社は、2020年に本社の建屋で使用する電力について再生可能エネルギー(以下「再エネ」)100%を達成し、現在まで継続しています(2026年8月時点)。どのように再エネ導入や省エネを進めてきたのでしょうか。代表取締役の大角武志氏、執行役員 経営企画室 室長の平野あや氏、総務グループ チーフの友広洋子氏にお話をうかがいました。

 左から、大角氏、友広氏、平野氏 写真提供:(株)オオスミ

太陽光発電の自家消費で約10%の電力を賄う


オオスミの再エネ電力の利用方法は、大きく2つあります。1つは本社ビルの屋上への太陽光発電設備の導入。もう1つは、再エネ電力を供給する電力会社への切り替えです。

 太陽光発電を設置した経緯について、当時から担当している友広氏は次のように話します。

 「当社は長年、自社オフィスで省エネなどの環境対策を推進してきましたが、再エネの導入は未着手でした。それで一度、太陽光発電設備を販売している会社に話を聞いてみたところ、本社ビルの屋上は平坦で条件もよく、発電に適しているとのことでした。それならと、本格的な検討を開始しました」

 「どうせやるなら中途半端に手をつけるのではなく、本当の意味で『環境にやさしい電力』にしよう。そして他社の見本になれる存在を目指そう」という大角氏の力強い言葉も後押しとなり、導入に向けて一気にプロジェクトが動き出しました。

 まずは数社に見積を依頼するところからスタートし、内容を比較。しかし、コストや安全面、周辺環境への配慮など慎重な確認を要するポイントが多数あり、検討は難航しました。当時、破損した太陽光パネルが放置されるといった報道もあり、友広氏は入念なチェックの必要性を感じていたといいます。

 これらの課題や不安を乗り越えて導入に踏み切れた背景には、信頼できる施工会社との出会いがありました。きめ細かいサポートで疑問や懸念を解消できたことに加え、神奈川県の補助金活用の提案もあり、コスト面の負担も軽減。2020年から発電を開始しました。

 本社屋上の太陽光発電パネル(2020年設置当初)  写真提供:(株)オオスミ


設置した太陽光発電の設備容量は40kW。年間発電量は、45,589kWh/年(2025年実績)で、これまで本社の使用電力の8〜11%をカバーしてきました。直近の2025年では電力使用量の8.5%をまかなっています。さらに、残りの電力についても再エネ電力への切り替えを進め、導入前との比較では、本社のCO₂排出量を75%(約213t-CO₂)削減しています。計画では2026年度には投資回収がほぼ完了する見込みであり、今後は発電による削減効果がそのままコストメリットとなります。

質も重視した「再エネ電力」への切り替え


先述のように、オオスミは太陽光発電設備の導入と同時に、再エネ電力を供給する電力会社への切り替えも並行して検討していました。この「電力会社探し」は、太陽光発電の導入以上に困難を極めたといいます。

 価格や違約金などの条件面もさることながら、オオスミが最も重視したのは「どこで、どのように発電された電気なのか」という点。オオスミは、事業の一環で「環境アセスメント」とよばれる環境調査を行っていることから、「再エネ」であることだけでなく、発電所や電源の由来についても確認したうえで、自社が納得できる電力を選びたいと考えていたからです。

 「候補に挙がった電力会社について、再エネの種類や割合、発電所などの情報を確認しながら比較検討し、自分たちが納得できる電力を探していきました。」(友広氏)

 1年ほど粘り強く検討した結果、発電所の情報をきちんと公開している、まさしく「顔の見える」電力会社が見つかりました。ちょうどその頃、横浜市と秋田県八峰町による「再エネ連携協定」の取り組みが進められており、契約のタイミングが重なったことで、オオスミもこの取り組みに参加。八峰町の峰浜風力発電所で発電された再エネ電力の供給を受けることになり、2020年秋に電力会社の切り替えに至りました。

 八峰町峰浜風力発電所の風車  写真提供:(株)オオスミ

自然や地域と共生する「風力発電」の現場へ

オオスミの環境配慮へのこだわりは、電力会社や電力メニューの選定だけでは終わりません。

2024年には、電力の供給元である八峰町峰浜風力発電所にオオスミの社員5人が足を運び、発電する様子を見学しました。高さ130m、羽の長さは50mもある大型の風車が発電する様子を目前にし、平野氏は「改めて感動した」とその印象を語ります。

 「実際にメンテナンスを担当する方のお話を直接うかがうと、想像以上にきめ細かく丁寧に管理されていることが伝わってきて……。こうした方々の日々の努力のおかげで、私たちが再エネ電力を使用できているのだと実感しました」

 担当者から話を聞くオオスミの社員  写真提供:(株)オオスミ

オオスミの技術部門の若手社員も視察に参加して、風車への鳥の衝突事故(バードストライク)や騒音に対する住民からの苦情の有無など、事前に準備した質問について確認しました。近隣の住宅からの距離(500m以上を確保して設置された)や、(訪問時までの期間には)衝突事故や苦情は確認されていないとの説明を受けるなど、自然環境や地域との共生に向けた取り組みを現地で確認する機会となりました。

省エネは「運用改善」でも十分効果あり

オオスミは、再エネ電力の使用に加えて、オフィスの省エネにも熱心に取り組んでいます。事業として実施している省エネ診断やコンサルティングの知見を自社にも適用し、長年試行錯誤してきました。

 2022年に本社の横に実験棟(ラボ棟)を新設しました。ラボ棟には、LED照明、人感センサーによる点灯、空調機・排気ファン・排水ポンプのモーターの高効率化とインバーター制御、エアコンの集中制御、樹脂製の採光ブラインドなど、省エネ診断事業の経験を活かした工夫が取り入れられています。

 設備の入れ替えや機器の導入など、設備投資とセットでイメージされる企業の省エネですが、実は地道な「運用改善」でも成果が期待できると平野氏は話します。

 「オフィスの場合は、暖房やクーラーを使用している時はドアを開けっぱなしにしない、トイレの便座の温度設定を季節で変えるなど、小さな対策の積み重ねが省エネにつながります。電気ポットをやめてケトルにするのもお勧めです(電気ポットでお湯を沸かして保温するとエネルギー消費量が大きいため)。私は自治体などのセミナーで当社の省エネの取り組み事例を紹介する機会が多いのですが、『そんなことでいいの?』とみなさん驚かれます」

 そのほかにも、給湯器の温度設定や空調のタイマー設置なども有効だといいます。また、工場の場合は設備の簡易な修繕も効果的。エアコンプレッサの配管網の穴を塞ぐ、空調機の本体と室外機をつなぐ配管のカバーを巻き直すなど、見落とされがちな細やかな対策が省エネ、そしてコスト削減につながります。

 省エネ点検の様子 写真提供:(株)オオスミ

「省エネに限らず、中小企業の環境対策全般に言えることですが、小さな会社だからこそできることがたくさんあるんです。費用がかかる、そこまでやる余裕がない、と思われるかもしれませんが、環境対策をすることで、生産性向上やコスト削減など、会社の経営改善にもつながります。気軽にできることから始めてほしいです」(平野氏)

 こうした自社での実践経験も、同社が企業向けに行う省エネ診断や脱炭素支援に活かされています。


日本の環境技術を世界へ 

他社の環境対策を支援しながら、自らも太陽光発電や再エネ電力の導入、地道な省エネに取り組むオオスミ。その先に見据えるのは、持続可能な未来のためのさらに大きな「ミッション」です。大角氏は、その展望を次のように語ります。

 「私たちはこれまで、『100年後にも地球に人が住めて、安全な空気と水がある』ことを目指して事業を展開してきました。世界全体を見据え、日本国内にとどまらず、海外にも事業を拡大したいと常々考えてきました。それを実現するための第一歩が、『オオスミベトナム』です」

 2020年、オオスミはベトナム・ダナンに現地法人を設立。省エネ診断や作業環境改善対策などに精力的に取り組んでいます。日本ほど環境対策が進んでいない企業も多く、大きなポテンシャルと手応えを感じています。

 オオスミベトナムのスタッフ  写真提供:(株)オオスミ


 オオスミベトナムの従業員のうち、日本人は1名のみで、業務の中心を担うのは5名のベトナム人スタッフです。「オオスミが日本で培ってきた環境技術やノウハウを伝授し、ゆくゆくはベトナム人の社員に会社の運営も任せたい」と話す大角氏から、「人の育成」も重視していることがわかります。

 今後は、ベトナム以外の東南アジアの国々にも現地法人設立の可能性を模索していくとのこと。世界の環境をより良くするために、オオスミの挑戦は続きます。

 

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株式会社オオスミは、再エネ100宣言 RE Action(https://saiene.jp/)に参加しています。
再エネ100宣言 RE Actionの公式YouTubeチャンネルでは同社へのインタビュー動画を公開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=KMy-eS02t-0&t=1520s

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参考資料

・株式会社オオスミ 「『ほんとうに環境にやさしい電力』で再生可能エネルギー100%を実現しました!」

https://www.o-smi.co.jp/blog/initiative/210908.html

・横浜市 記者発表資料「再生可能エネルギーに関する連携協定 拡大!秋田県八峰町と新たに連携協定を締結 横浜市内への再エネ電気供給を開始します(10月29日 再エネ連携協定締結記念式典開催)」

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/etc/renkei.files/0059_20260619.pdf

・株式会社オオスミ 「環境への取り組み」

https://www.o-smi.co.jp/sustainability/environmentpolicy.html

・株式会社オオスミ 「エコアクション21 環境経営活動レポート(57期:2024年11月1日~2025年10月31日)」

https://www.o-smi.co.jp/ecoaction_20260302.pdf

本記事は、再生可能エネルギーに関する取り組み事例を共有することを趣旨としたものであり、特定の事業者やプロジェクトを宣伝する広告(PR)記事ではありません。

関係者へのインタビューおよび提供資料に基づき、再エネポータル編集部が作成しておりますが、掲載情報の完全性などを保証するものではありません。また、記事内の情報は公開時点のものであり、予告なしに変更・削除されることがあります。

再エネポータル編集部
執筆者 再エネポータル編集部